幻の若冲の襖絵50面 デジタル複製で金閣寺に復活
デジタル技術で複製される鹿苑寺(金閣寺)大書院障壁画の一部(キヤノン提供)
江戸中期の絵師、伊藤若冲(じゃくちゅう)(1716~1800)が描き、国の重要文化財になっている金閣寺(京都市)の襖絵(ふすまえ)「鹿苑寺大書 院障壁画」全50面をキヤノンが複製する。現物は本山の相国寺(同)で保存され、ほとんど公開されていない。先端デジタル技術で約2年半をかけて忠実に再 現し、本来の設置場所である大書院で10年秋に一般公開される。
京都国際文化交流財団とキヤノンが昨年から3年計画で進めている文化財保存事業の一環。キヤノンの2110万画素のデジタル一眼レフカメラや高機 能の大判プリンターで複製し、所蔵元の寺などへ寄贈する。国外流出したり、劣化で保存が危ぶまれたりしている国宝など十数点が対象で、すでに5点を複製し た。
大書院障壁画は、若冲の水墨画の最高傑作とされる。劣化が激しく84年から相国寺の美術館で保存してきた。キヤノンは複製作業に着手しており、複 製された一部は京都市の姉妹都市パリでの展示も予定されている。京都国立博物館の佐々木丞平館長は「技術の発展が今回の再現を可能にした。元の場所に収め られることで、若冲が考えた空間性を再鑑賞できる意義は大きい」と話す。
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